クリニックブログ

2017.11.24更新

近年、花粉症患者は急増して、全国で1300万人と推定されています。花粉症の飛散状況が天気予報や紙上の中で報じられるのが当たり前に感じるほど、花粉症は社会的な関心事、国民病と言える状況になっています。花粉症の原因で最も多いスギの生育状況から、花粉の飛散量は2050年には現在の1.8倍に増え、花粉症の患者さんも同じ割合で増加すると予想されています。

花粉症は季節限定のアレルゲンで、地域によって多少花粉の飛ぶ時期に違いがあります。スギ(2~4月)、ヒノキ(5~6月)、初夏のカモガヤやハルガヤなどのイネ科植物、秋のブタクサやヨモギのキク科植物など、日本では約60種類あり、一年中を通じて何らかの花粉が空中を飛んでいることは事実です。

花粉症、アレルギー結膜炎は、15分ぐらいで充血やかゆみなどの反応がでてくる、即時型(1型)アレルギーで起こります。症状はかゆみ、異物感、流涙が主で、程度の差があっても両方の目に生じることも特徴です。花粉症は外出時に悪化します。くしゃみ、鼻水、鼻ずまりを伴うことがあります。アレルギー性結膜炎患者の40%にアレルギー性鼻炎、20%にアトピー性皮膚炎の既往があります。

治療は通常点眼薬です。抗アレルギー点眼の最も効果的なのは、花粉が飛散する2週間ぐらい前から点眼し始めることです。そして、飛散中はずっと点眼し続けることが重要です。抗アレルギー点眼はほとんど副作用が少なく安全に使うことができます。花粉の量が多ときや症状が強い場合はステロイド点眼を併用します。適切に使えばとても優れた薬ですが、ステロイド過敏症で約30%で眼圧が上がる人がいて、緑内障などの副作用が現れることがあります。2週間以上点眼を継続する場合は、定期的に通院して眼圧をチェックする必要があります。

花粉症の治療は、薬物療法を主体としたメディカルケアも重要ですが、アレルゲンとしての花粉の回避、除去、つまり花粉を吸い込まないというセルフケアがさらに重要です。したがって花粉症を予防する方法として、花粉飛散量の予測(前年の夏の気温、日照時間との比較)、飛散シーズンの花粉情報、気候(天気の良い日、気温の高い日、風の強い日、雨上がりの翌日の日に多い)などに注意が必要で、花粉の飛びやすい雨天の翌日の晴れた日などになるべく外出や布団を干すことを避けたり、外出から帰った際に衣服や髪に付いた花粉を十分落とすことが上げられています。洗顔、うがい、鼻をかむ。ついで人工涙液での洗眼します。ゴーグルやマスク、せめてメガネをかけるだけでも、目に入る花粉を減らすことができます。

花粉症は早期治療が重要です。自分のアレルゲンである植物がいつ頃から飛散するか確認し、眼科専門医の指示に従ってシーズン前から抗アレルギー点眼液を点眼して花粉症を予防する必要があります。

投稿者: 川久保眼科

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